渡瀬恒彦の遺作となったアガサ・クリスティ原作のドラマ『そして誰もいなくなった』(ネタバレあり)

2017年3月25日、26日とアガサ・クリスティの推理小説『そして誰もいなくなった』のドラマがテレビ朝日系で放送された。

ドラマに出演している俳優・渡瀬恒彦が、このドラマが放送される10日ほど前の3月14日に多臓器不全により72歳で亡くなっており、渡瀬恒彦の遺作という形になった。

奇しくも、劇中で渡瀬恒彦は末期の肺がんの設定であり、自殺してしまうのであるが、この設定が現実の渡瀬恒彦の状態と重なる部分があり、奇妙な偶然が話題を呼んだ。

渡瀬恒彦のクランクアップは2月12日で、撮影自体は渡瀬自身が亡くなる一か月前まで行われていたことになる。そして、ドラマのラスト30分には、渡瀬が扮する元裁判長の磐村兵庫が「末期の肺がん」であったことを告白するシーンがあり、まさに鬼気迫る演技であった。

作家などが作品を書きながら机の上で亡くなるといった話を聞くことがあるが、まさに渡瀬恒彦は作品に殉ずる形で亡くなったことになるだろう。

亡くなる1か月前まで撮影を行っていたのだから、体調的にも思わしくないことがあったと推察される。そんな状況で演技を続けていたことを考えると、渡瀬自身の精神力の強さと俳優としての心構えを見せつけられたようだ。