怪談「皿屋敷」のお菊さんを描いた鏑木清方の掛け軸「茶を献ずるお菊さん」 ネットオークションで出品されていた

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有名な怪談「皿屋敷」を知らない人は少ないだろう。

主人のお皿を割ったために殺されたお菊さんの幽霊が、井戸で夜な夜な「いちまーい、にまーい、…」などと数える怪談である。

『播州皿屋敷』や、『番町皿屋敷』という名称でも知られている。

そんな「お菊さん」を著名な日本画家である鏑木清方(かぶらき きよかた)が描いた幽霊図『茶を献ずるお菊さん』がインターネットのオークションで出品されていたことが判明した。

鏑木清方が描いた掛け軸

この鏑木清方が描いた掛け軸『茶を献ずるお菊さん』は、大正12年に起こった関東大震災の最中に焼失したと思われていた。

そんな掛け軸がネットオークションに出品されたいたのだから、関係者はかなり驚いたに違いない。

中には、「贋作だろう」と思っていた関係者もいたと思うが、鑑定の結果、署名や印章などから、本物であることが確認されたという。

この作品は、1906年に、落語中興の祖、三遊亭円朝(圓朝)の七回忌法要が営まれたときに、絵葉書の図柄として使われた後に行方不明になっていたという。

今回、東京都内にある画廊・加島美術が入手したようだ。

全生庵で展示

この掛け軸は、現在、東京都台東区にある「全生庵」で展示されている。

上述の三遊亭円朝の菩提寺で、円朝が収蔵した幽霊がコレクションの一部が全生庵に収められているようだ。近年は、円朝の命日に合わせて幽霊画展を開いているそうだ。

展示は、8月31日まで。入館料は500円だという。

暑い夏を涼しくするために、一度訪れてみてはいかがだろうか。

「全生庵」の場所と地図



日本画家・鏑木清方とは

文化勲章を受章した近代日本画家。1878年(明治11年)生、1972年(昭和47年)没(93歳)。

本名は「健一」。「清方」の号は、挿絵画の師である水野年方から授けられた。

当初は挿絵画家として活動を開始したが、次第に日本画へも取り組み始める。

第11回帝国美術院展(帝展)に『三遊亭圓朝像』を出品。この作品は2003年(平成15年)に重要文化財に指定された。

 


鏑木清方

参考資料:
・『怪談「皿屋敷」お菊さんの幽霊画 オークションで見つかる』、NHKニュース、2017年8月15日、http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170815/k10011100241000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_008
・『鏑木清方の幽霊図を公開 “幻の作品”、東京・台東で』、日本経済新聞、2017年8月14日、http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14H1I_U7A810C1000000/